夏恋
「うるせぇ、何とでも言え」
残りのコーヒーを飲み干し、豪快にコップを置く。
「ちょっと!割れたらどうするのよ」
「割れたら、お前が弁償しろ」
全く、どれだけ偉そうなのよ。
「あんたと結婚したら亭主関白な家庭ね。あたしはそういうのごめんだもの。それに比べて飛鳥くんは紳士的で優しいの。人間、顔じゃないってことよ」
べーと、舌を出してざまあみろと言ってやった。
誰もが、あんたに惚れると思うなよ。
「ふーん、生意気じゃねーか」
「生意気なのは薫も一緒ね」
プイと顔を反らし言ったあたしに、薫は挑発的な顔をした。
「言ってくれるじゃねーか。」