夏恋
「えっ?不味い?」
いつも通り作ったはずのお茶。
部員の声が、ふと耳に入ってきて慌ててお茶を口に含む。
「いつも通りだけど」
「あ!真麻さん…違うんす。お茶のことじゃなくて…お茶はいつも通り美味しいんですけど」
「けど?」
慌てて弁解する後輩が、可愛くて追い詰める。
「飛鳥さんがいつもと違うくて…俺不味いこと言ったかなって」
「飛鳥くんが…?」
おかしいな。
飛鳥くんは、後輩にも何があっても優しいのに。
「大丈夫よ。飛鳥くんそのくらいで怒ったりしないし、きっと何か他のことだよ」
他のことで人に当たっちゃうとも思えないんだけどね、と言って微笑むと後輩は一言
「相当惚れてんすね」
と言ってグラウンドに、走っていってしまった。