夏恋
…………。
「あのぉ…この状態どうにかしない?」
あたしの上には、怖ーい顔した薫。
両手首を頭の上で押さえられている。
「お母さんとか来たとき、この状態だったら誤解されちゃうんだけど…」
チラッと薫を見ると
「えっ?泣いてるの?」
目いっぱいに溜まった涙。
拭うことも隠すこともせず、あたしを見ている。
「アイツのものなんか、なんなよ…」
「…か、おる?」
「好きなんだよ…」
「……」
「めちゃくちゃにしたいくらい。無理矢理でも俺のものにしたいくらい。好きで好きで…仕方ねぇんだよ」