夏恋
「あの……飛鳥くん?」
アナタは飛鳥くんなの?
そう聞きたいほどだった。
飛鳥くんは、そう言ったあたしにため息を吐いた。
「真麻ちゃん…ごめん。俺、真麻ちゃんのことが好きで優しい男がタイプだって聞いて優しくしてた」
演技だったわけではない、そう言う飛鳥くんに小さく頷いた。
「でも、真麻ちゃんのことになるとつい周りが見えなくなる。最近、薫と仲がよくてそれが嫌で告白したんだ。」
「…じゃあ、なんで別れるんだよ?両思いだろーが」
割り込んできた薫に、飛鳥くんは笑い出した。
「ははっ…薫も真麻ちゃんも鈍感すぎなんだよ」
「え?」
「は?」
意味わからないという顔をする2人に飛鳥くんは、言った。
「…2人は両思いだよ?」
教えたくなかったけど、と言って笑うと飛鳥くんはお幸せにと言って帰っていってしまった。