夏恋
「止めろよ、うるさい」
出たーっっ!
イジワル飛鳥君。
あの日以来、優しい飛鳥君はイジワル飛鳥君に変わってしまったのだ。
「なんだよ、飛鳥。邪魔すんな」
苛立つ薫を押し退け、あたしの隣を通るときそっと焼きそばパンを渡された。
「…えっ?」
慌ててパッと飛鳥君を見上げる。
飛鳥君は優しく笑って、あたしを見ていた。
ドクン。ドクン。
いかん…ときめいてしまった。
波打つ胸に手を当て、赤くなった顔を隠すように俯く。