夏恋
そう言ったあたしに、飛鳥くんは言った。
「ふーん。妬けるな」
意地悪な笑みを浮かべる。
チラっと見えた八重歯。
少し揺れた瞳。
グラウンドに当たる陽射しがあまりにも眩しい。
あたしと薫には暑すぎる。
もっともっと寒くなっちゃえばいいのに。
真冬にそんなことを思っちゃうあたしはおかしいのかな?
「飛鳥くん…あたしと薫ね、卒業したら別れるんだ」
青い空をいつの間にか真っ黒で分厚い雲が覆い始めていた。