夏恋







泣き叫んだのは、小さい頃ぶり。



それも、昔薫から泣かされたことを思い出した。




「まーちゃんまーちゃん!おかえりっ」



お友達のお母さんと公園に行って帰ってきたら、薫がいた。



あたしを見てニコニコ笑う薫はまだ小さくてきっとあたしに意地悪したわけではないんだと思う。



なのに、手に持つ中身の入ってないプリンを見ると悲しくなった。



「わあああー…っん!ヒッヒック…あ゛だじのプリンー!!」



声が枯れるまでないていたのを思い出した。



「ううー…薫のバカアアアアアアアー!!…ヒッ」



今も昔も困った顔して、頭を撫でてくれる。



それがまた涙腺を刺激して、泣けてくるのを薫は知らないよね。












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