夏恋
…────次の日。
「グスン。」
飛鳥くんから、貰ったチケット映画は両思いの2人が切なくもすれ違っていく恋のお話だった。
「泣けるーうう…」
たくさんの人が退室していくなか、あたしエンディングを聞きながら、まだ泣いていた。
「真麻、泣きすぎ」
ほら、と差し出してくれたハンカチ。
薫にしては、気が利くじゃない。
ズズズー。
「うわっ!お前、人のハンカチで鼻咬むなよ」
「だっで〜はなみじゅでるんだもん〜」
本当に切なくて、胸の奥が苦しい。
あたしも、素敵な恋いつか飛鳥くんとするんだ。