【BL】Monster
なんか遠い昔、誰かをやっぱり、こうやって怒鳴っていたような…いないような…。

「………確かに、ありあ、だというのに。まさか…」

まるで、絶望したようにショックを受けている男に、追い討ちをかける。

「オレは、ありあではないです。」

その深海のような黒に近いブルーの不思議な色合いの瞳。
綺麗な瞳が、悲しみに揺れたとき、体が勝手に動いた。


ハタッと気がついたら、男の頭を抱き締めていた。
「うぁっ!ごめ…」

バッと、慌て離れる。
顔が赤くなる。

―なんだ?オレのこの反応はっ!!

内心、焦りながらもどこか嫌じゃない気もした。

なんか、しっくりくるような感じが…凄く嫌だ。

「やっぱり、ありあだ。」

ふわっと笑った顔が、すごく綺麗だった。
甘い砂糖菓子のような微笑みは、オレを通して誰かに向けられている。



―それが…すごく……。





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