飴玉戦争
「とっ、斗賀野結夏、で」
「結夏ッ!!」
「……!?」
自己紹介、張り切って自分の名前を口に出す。しかしまさかその第一声を遮られるなんて、拍子抜けした気分だった。
先生でもない、親が来た訳でもない、紛れも無い初対面の男子生徒の声だった。
「お前、なんでここに来たんだよ」
「……え、あ、はい?」
ざわざわと騒ぎ出す他の生徒達。私に声をかけた男子生徒は明らかに……明らかに初対面。
「あの、どなた……」
「俺の名前を忘れたのかよ、なぁ、結夏」
「え、ぞ…存じませんすいません」
顔の前で手を左右に動かす。
この人、全く記憶に無いのだけれど。