ただ君に… -信じる事が出来なくて-
誰かが飛び降りようとしてるのが見えたからだ。そうとも知らず健吾は、文句を言いながら上がろうとしている。

「お前急に立ち止まるなよ。先行くぞ!?」

「ちょっやべえんだよ。」

僕は、思わず健吾の腕を引っ張った。

「あそこに誰か居るんだよ。」

「はぁ??」

やばい。どうすりゃいいんだよ。

「お前考えてる暇ないだろ。助けに行くぞ。」

そう言って今度は、健吾が僕の腕を引っ張り屋上へ歩いていく。

「あれ女じゃん。どうする?」

「取り敢えず声かける?」

「でも急に声かけたらビックリして落ちねぇか?」

「じゃあどうすんだよ。」

「お前に任せた。」

はぁ!?いやいや言い出しっぺはお前だろ。
まじあり得ねぇし。

暫く僕らが言い合いをしてるうちに気配を感じたのか彼女の方からこっちを見た。

「…」

彼女は一瞬、驚いた顔をしたけど直ぐに悲しそうな顔になった。
暫くの沈黙を破ったのは、僕だった。

「あのさ…そんなとこいたら危ないよ?」
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