恋花~桜~
「あのね、別にボランティアはむずかしいことじゃないよ~。誰かの役に立ちたいとか、誰かを助けたいっていう気持ちがあれば誰でもできることなんだよ」

保科さんの言うことは最もだ。でも、恥ずかしがり屋の俺が街頭募金みたいなことできるわけがない。

「でも保科さんはえらいね。自分から進んでボランティアすることを選んだんだから」

素直に俺はそう思ったんだ。天はこの少女に二物も三物も与えたのだ。

「そんなことないよ~」

謙遜しながら小刻みに両手を振る彼女はとても可愛かった。すると保科さんは、またも意外なことを言った。

「実はね…私も別にボランティアしたくて入部したんじゃないの」

「え?どうゆうこと?」

「実は部活の先生がね、夏休みに北海道キャンプに連れて行ってくれるんだって!!」

「うそ!マジで!?」

「ほんとだよ~。それ聞いて私も入部しちゃったんだからぁ!」

「北海道か…行ってみたいなぁ~」

《高校生の夏休み…自然豊かな北海道…キャンプ…泊まり…かわいい女子と…》

俺の頭はぐるぐるまわり、心臓はドキドキしはじめた。

「ねぇ高田君…どう?」

彼女のくりくりした目が、さらにまん丸になって俺だけを見つめている…

俺は…

俺は……



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