恋花~桜~
試合が始まると、俺にボールが集中してきた。サーブはもちろん、アタックも。特にバレーボール部のスパイクは鋭く、俺の顔や身体を明らかに狙ってきた。

たった一試合で俺の両手首は青く腫れ上がってしまった。

「負けたチームはコート脇で見学しなさい。じゃ、次のチーム!」

先生の指示で俺たちはコート脇に座った。

「高田、大丈夫か?」

「あ…うん…」

「あいつらさ、やっぱり高田をターゲットにしてるな」

小野は気付いていた。

「なんか朝からずっとおかしいって思ってたけど…バレーも集中攻撃してたしな」

「…」

俺は答えに詰まった。

「何か心当たりある?」

「いや、全くないよ」

「だよな…あっ!危ない!!」

突然バレーボールが飛んできた。気付いた小野が、俺に向かって飛んできたボールを蹴飛ばした。

「あ~惜しい!!」

「今度はちゃんと狙えよ!」

「わかったわかった」

「アハハ!!」

奴らは、コート脇に待機していても俺を狙ってきたのだった。

「くそっ!!なんて酷い奴らだ!!」

小野はそう言ってくれた。でも俺の心は救われるどころか、より追い詰められてしまった。

《本気だ…理由はわからないけど、奴らは俺を確実にいじめようとしている。俺が…俺が何をしたって言うんだ!?》

そう思うと、俺は吐き気とめまいがしてきた。しばらくは我慢したが、奴らが視界に入っているだけで俺の吐き気は収まらなかった。














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