恋花~桜~
北海道キャンプ
待ちに待った夏休みが来た!
だって、奴らと会わなくても良かったからだ。いじめられた人ならきっとわかってくれるだろうが、いじめっ子と会わなくても良いということほど幸せなことはないのだ。どんなに旨い物でも、どんなに欲しかった物が手に入っても、比べ物にならない。それほどいじめは残酷な行為なのだ。
《保科さんと話せないのは寂しいけどな…ま、いじめられるよりはまだマシだ》
保科さんとは全く会えないわけではない。8月初めにはボランティア部で北海道函館へ1泊2日のキャンプが待っていたのだ。このためだけにボランティア部に入部したといっても過言ではない。
毎日地元の同じ中学だった友だちとゲームや麻雀をして過ごしていた俺は、キャンプの日を心待ちにしていたのだった。
そして、8月2日になった。朝8時、ボランティア部は駅前に集合した。
高校の知り合いと私服で集まるのは初めてだった。だから俺は母親に初めて洋服をねだって、新しいTシャツと淡いブルーのジーパンを着ていった。オシャレに全く興味のなかった俺だったが、自分なりにかっこつけたつもりだった。
「高田く~ん!お久しぶりだね!」
俺の到着とほぼ同時くらいに保科さんがやってきた。
「あっ…」
2週間ぶりに見る保科さんに、俺はボーダーのTシャツに細身のジーパンだった。身体の線が強調され、まるでモデルのように美しかった。いつも制服やジャージしか見たことなかったから、俺はまともに見れないほどドキドキした。
「どうしたの?元気ないんじゃない?風邪引いちゃったとか?」
「あ、いや、そんなことないよ」
俺の胸を高鳴らせたのは保科さんのスタイルだけではない。保科さんのヘアスタイルはポニーテールだった。学校では滅多に見られないのだが、保科さんのうなじから首にかけてがとても綺麗で、俺は好きだった。だからこそ余計に保科さんに照れてしまった。うまく喋れない自分がもどかしい。
「元気ならいいんだけど。楽しいキャンプになるといいね!」
「うん、そうだね!」
《神様、ありがと!!》
久しぶりに見た保科さんとポニーテール…神様に頼んだ覚えはなかったけど、祈りが通じたって思った。きっといじめに負けずに1学期を乗り越えたご褒美だと解釈していた。
だって、奴らと会わなくても良かったからだ。いじめられた人ならきっとわかってくれるだろうが、いじめっ子と会わなくても良いということほど幸せなことはないのだ。どんなに旨い物でも、どんなに欲しかった物が手に入っても、比べ物にならない。それほどいじめは残酷な行為なのだ。
《保科さんと話せないのは寂しいけどな…ま、いじめられるよりはまだマシだ》
保科さんとは全く会えないわけではない。8月初めにはボランティア部で北海道函館へ1泊2日のキャンプが待っていたのだ。このためだけにボランティア部に入部したといっても過言ではない。
毎日地元の同じ中学だった友だちとゲームや麻雀をして過ごしていた俺は、キャンプの日を心待ちにしていたのだった。
そして、8月2日になった。朝8時、ボランティア部は駅前に集合した。
高校の知り合いと私服で集まるのは初めてだった。だから俺は母親に初めて洋服をねだって、新しいTシャツと淡いブルーのジーパンを着ていった。オシャレに全く興味のなかった俺だったが、自分なりにかっこつけたつもりだった。
「高田く~ん!お久しぶりだね!」
俺の到着とほぼ同時くらいに保科さんがやってきた。
「あっ…」
2週間ぶりに見る保科さんに、俺はボーダーのTシャツに細身のジーパンだった。身体の線が強調され、まるでモデルのように美しかった。いつも制服やジャージしか見たことなかったから、俺はまともに見れないほどドキドキした。
「どうしたの?元気ないんじゃない?風邪引いちゃったとか?」
「あ、いや、そんなことないよ」
俺の胸を高鳴らせたのは保科さんのスタイルだけではない。保科さんのヘアスタイルはポニーテールだった。学校では滅多に見られないのだが、保科さんのうなじから首にかけてがとても綺麗で、俺は好きだった。だからこそ余計に保科さんに照れてしまった。うまく喋れない自分がもどかしい。
「元気ならいいんだけど。楽しいキャンプになるといいね!」
「うん、そうだね!」
《神様、ありがと!!》
久しぶりに見た保科さんとポニーテール…神様に頼んだ覚えはなかったけど、祈りが通じたって思った。きっといじめに負けずに1学期を乗り越えたご褒美だと解釈していた。