ビタースウィート・レッスン 〜聖夜に特別レッスンを〜
反射的に右手をあげて
それを受け取ると。


爽介さんはもう一度
ニッコリとほほ笑んで、
あたしを励ますように、言った。


「オトナになるのも、
今の関係を変えるのも。

きっともう、美紅ちゃん次第だ。

――がんばれ!」



「―――――!」




あたしは、答える言葉が
見つかんなくて黙ったまま
だったけど。


それでも、涙がおさまって
きてるのを見届けると、
爽介さんは伝票を手にとって、

『じゃぁ、オレは先に行くな』

そう声をかけてから、
静かに店を出て行った。
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