ビタースウィート・レッスン 〜聖夜に特別レッスンを〜
「切り分けるぞ。

美紅も食べるだろう?」


「ウ、ウン……」


貢にぃの細くてキレイな指が箱を
開けてくのを、ジッと息をつめて
見守る。


沈黙の中――ゆっくりと、あたし
が生まれて初めて作ったクリス
マスケーキが姿を現した。



「へぇ……」



声を出したのは貢にぃ。


軽く驚いたような感じ。


「思ったよりまともに仕上がって
るじゃないか」


「えっ、そ、そう!?」


別に決して褒めてはいないん
だけど、それでもそのセリフは、
あたしにとってはすっごく嬉しい。


正真正銘、初めて焼いたホール
ケーキ。
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