或いはこんなスクールライフ
険しく起伏に富んだ、岩だらけの山道を登り続けると、やがて拓けた場所へと出た。

硬い岩で出来た平地。

ちょっとしたグラウンド程度の広さの平らな岩盤の先には、高さ10メートルほどの石柱が屹立していた。

風雨によって削られて出来た、自然の創り出した尖塔(ミナレット)。

その尖塔の頂上に、彼女はいた。

本来ならば自力で登れる筈のない高さの石柱の上に、四つん這いの状態で座っているラビさん。

「サユミちゃん…ガルル君…!」

私達の姿を見とめ、名を呼ぶものの、その声はあくまで小さい。

それも仕方がないだろう。

大声を出して、背後にいる『彼』或いは『彼女』を刺激したくはないだろうから。

屹立する石柱の頂上が巣だとすると、さしずめラビさんは巣で大事に守られている卵。

その卵を抱いて暖めるような姿勢で、ラビさんの背後に巨大な黒竜が鎮座していた。

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