或いはこんなスクールライフ
だけどミーシャさんは、教師の私にも臆する事なく強い眼差しを向ける。

「お言葉を返すようですが、サユミ先生は甘いと思いますわ。そんな特例を認めていたら、校則などただの紙切れと化してしまいます。極論すれば、『校則に目を通していなかったから』『そんな校則があるのを知らなかったから』という理由さえあれば、どんな違反でも許される事になってしまいます。それでは校則の存在も、私達風紀委員の存在も無意味となってしまうのです」

まさしくミーシャさんの言う通りだ。

情だけで動いていては、校則違反者は処断できない。

「大体、サユミ先生も彼に暴力を振るわれているのでしょう?教師として、そこはきちんと叱るべきです!」

ミーシャさんの厳しい言葉。

「……」

俯いて、唇を噛むしかない。

私は教師として、甘すぎるのかもしれない。

己の非力さに、ただ足元を見つめていると。

「あー…ちょっといいかな」

それまで無言で私とミーシャさんのやり取りを聞いていた学園長が、口を開いた。

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