或いはこんなスクールライフ
クラスメイト達は皆帰宅したというのに、その場に残っているのはガルル君だけ。

「どうしたのガルル君?帰らないの?」

「……」

私の言葉に、ガルル君は困ったように私の顔を見上げた。

「俺、どこ帰る?千獣の樹海帰ればいいか?」

そう言われて初めて気付く。

失念していた。

学園長に連れられて天空宮に来たものの、ガルル君はこの街での滞在先が決まっていなかったのだ。

帰れと言われても、これではガルル君でなくても困惑してしまう。

「ごめんなさいガルル君、そうよね。ガルル君帰るとこないもんね」

慌ててポケットから携帯電話を取り出す。

これは学園長に連絡して、指示を仰がないと。

担任代理の私が、勝手な判断で決める訳にはいかない。

携帯のメモリに登録してある、学園長の電話番号をプッシュ。

数回のコール音の後。

『もしもし?下平です』

学園長の穏やかな声が聞こえてきた。

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