或いはこんなスクールライフ
それから一時間が経過した、午前2時。

「ん…」

私はベッドで目を覚ます。

声が聞こえていた。

室内からではなく、外。

まるで野犬か狼のような、遠吠え。

しかし、聞き覚えのある声だ。

まさか…。

私はベッドから降りる。

リビングのソファで寝ていた筈のガルル君の姿がない。

どうやら私の予感は的中したようだ。

部屋から外へと出てみる。

…やはり、声は部屋の外からだった。

しかもこのマンションの上の階、屋上から聞こえているらしい。

ゆっくりと階段を上がり、屋上へと足を運ぶ。

屋上に続く鉄扉を開くと。

「……」

そこには幻想的とも言える光景が広がっていた。

蒼いような夜空に浮かぶ、金色に輝く大きな満月。

その月明かりに照らされて、マンションの屋上に備え付けられた給水塔…その上に座り込むガルル君の姿が見えた。

満月を見上げ、遠い目をして。

彼は月に吠える。

近所迷惑とか、今は深夜だとか、そんな事を忘れてしまうくらいに、その姿は神々しくさえ見えた。

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