或いはこんなスクールライフ
満月に遠吠えをしながら何を想うのか。

ガルル君の咆哮は止む事がない。

故郷の千獣の樹海を想っているのか。

それともまた別の事なのか。

彼の咆哮は寂しげでもあり、神聖なものすら感じさせる。

やがて、気の済むまで吠えたのか。

「!」

ガルル君は、見つめている私の視線に気付いた。

「サユミ、起きてたか」

「あ…うん…」

こんな夜中に大騒ぎして、と叱る所かもしれないが、私はそんな事も忘れて、ガルル君を見る。

さっきまで子供で、可愛らしいとさえ思えたガルル君の顔が、急に大人びて映えて見えるような気がした。

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