【短編】LIVE HOUSE
SOUND
その瞬間―――音が、覆いかぶさるように襲ってきた。
(ぅわっ!)
あまりの衝撃に、体がビクンと跳ねた。
思わず耳をふさぎそうになるほどの、"轟音"と呼ぶにふさわしい音の嵐。
前方のステージはまぶしすぎるスポットライトに照らされて、その上でバンドが激しい演奏を繰り広げている。
ステージ前方をふさぐように低い柵があって、それを押し倒すかの勢いで人が密集し、跳ねたり体を揺らしたり、手を突き上げたりしている。
(すご…)
比べる対象が間違っているけど、文化祭とは桁違いの盛り上がり方に圧倒された。
けれどその一方で、後方には壁にもたれてのんびりと観賞する人もいたので、曲が終わった隙に壁際のスペースに滑り込んだ。
外の寒さが嘘のように思うほどの熱気の中、重たいコートを脱いで改めてステージに向き直ると、再び演奏が始まった。