大切なもの
その時、急に電話が鳴った。
その音で目が覚めた僕は今までのことが
夢だということに気づいた。

僕は夢でホッとした。

電話に出たパパは青ざめた顔をしていた。
だけど、どこか落ち着いていた。

パパは僕に
『ちょっと行ってくるな』
と言うと真夜中に出かけて行った。

その日パパは帰ってこなかった。


次の日の朝パパは帰ってきた。
泣きながら、
パパは一言言った。
『ママは、死んだよ』

僕は思った。
あの夢は本当のことだったんだ。
でも、ママは言った。

『1年後必ず迎えに来る』

あの夢が本当なら、
1年後ママに会える。
でも、それでも辛かった。

パパと僕は何日も一緒に泣き続けた。


でも、本当に辛いのはこれからだった。
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