大切なもの
その時、白い車が僕の前に止まった。

その中から出てきたのは
二人の男の人だった。
すぐに僕はこの人たちがミーが言っていた
男の人たちだとわかった。

怖そうな男の人たちは
店員さんに
『その犬、どうしたんだ?』
と聞いていた。
店員さんは困ったように
『どこかから逃げてきたみたいで』
と答えていた。
『そっか』
軽い返事で、男の人たちは店内に入っていった。

ミーに教えてもらってきたことを
知ってほしくて吠えようとした。
でも、僕はやめた。
『吠えたりしないように』
ミーからの忠告だった。

店内に入った男の人たちを
待つこと1時間。

男の人たちが出てきた。
『まだいたのか』
怖そうな男の人は言った。
若い男の人は
『お父さん。行くよ。俺でっかい犬怖いんだよね』
って話していた。

僕はその二人の近くまで行くと
上目づかいで
『連れてって』
ってお願いした。

それを見た怖そうな男の人は
『可哀そうだな。この犬どうすんだ』
と定員さんに聞いていた。
『定員さんは、ここに置いておくわけにもいかないんで、
もう少ししたら保健所に電話します』
と答えた。

少し考えた二人は急に口を開いた。
『しょうがねぇ。俺が家で預かるから飼い主見つかったら連絡して』
そう言って何かを書いた紙を定員さんに渡した。

店員さんは男の人たちにお礼を言っていた。
男の人は僕を見ると
『行くぞ』
そう言って僕を車に乗せた。

急な出来事。
事の進みがあまりにも速くてビックリしていた。

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