大切なもの

坂内家

坂内家の一日は齋藤家とは違う。

三洋君はなぜか昼間はいつまでも起きてこない。
でも、夜になるといつまでも起きている。
だから、朝ごはんのときは寝ているか、朝ごはんを食べて眠りに入る。

みんなが夜ごはんを食べる頃
三洋君の活動が始まる。

夜は毎日三洋君と一緒に散歩に出かける。
最初は怖そうだったけどとっても優しいんだ。
怒るととっても怖いけどね。

三洋君を散歩に誘うと
『しょうがねぇなぁ。クロは。俺んとこ好きなんだから』
なぁんて、嬉しそうに散歩に出かけるから、
僕もしょうがないから疲れてる日でも誘ってあげるんだ。

散歩に行くと途中三洋君は座ってたばこを吸いだす。
それを僕は隣で座って待つ。
いつものことだ。
2人で座って夜風に当たる時間が気持ちいいんだ。

そんなのんびり屋の三洋君とは違い、明美ちゃんはいつも忙しい。
明美ちゃんは朝早く起きる。
起きるとまず、坂内家で飼っている猫たちのトイレ掃除をする。
それが終わると僕のそばに座りいっぱい撫でてくれる。
朝早く出かけて行き、
帰ってくるのはいつも夜。
夜も暇があれば僕をなでてくれる。
ご飯をいつもくれるのも明美ちゃんだ。
明美ちゃんはいつもご飯を手でくれる。
その手は魔法の手で食欲が出る。
その手にかかればどんなご飯でもおいしくなるんだ。


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