空のために
ガチャッ。
静かに重い扉を開けた。
そこには茶髪にピアス、派手な指輪をしてダルダルな制服を着ている男がいた。
その横に私の足は進んでいる。
ストン。
「あれ?愛先輩。何しに来た?」
「別に・・・」
「やっぱり素直じゃないな・・・愛先輩は。」
「・・・・・・・」
「愛先輩。」
そう呟いてくされ後輩は私を抱きしめて横になった。
「ちょ、ちょっとなんなの?」
「先輩、空見るの好きでしょ。」
「え?・・・好きだけど?」
「俺は空を見上げる先輩が好き♪」
ギュっ。
「ちょ、痛い痛い!!」
「先輩小さいな・・・包み込みやすい。」
「そんなの知らないわよ。」
「・・・・・・・・」
「・・・・・・・・」
沈黙が続いた。
その沈黙を破るのがもったいなく感じた。
男に抱きしめられるのなんて初めてだった。
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