空のために
「愛。なにも愛が泥被らなくたって…」
萌が心配そうに聞いてきた。
「全然いいの。萌にまで迷惑かけちゃってごめん。」
「あたしは全然いいよ。着替えに行こっか?」
「ん、先行ってて」
「うん。分かった・・・あんま無理しちゃだめだからね?」
萌は私が今からどこに行くかお見通し。
私は悩んだら屋上に行く。
風にあたりながら空を見るのが大好き。
「ふぅ。落ち着くなぁ」
屋上にいる時はなにもかも忘れられる。
気楽になれる。

私は昔から誤解されやすい性格。
だから本当に言いたいことは言わない。
相手を傷つけない。
私はどれだけ汚れてもいいから。
本当の私は見せない。
誰にも知られないようにする。
それが私・・・薗田愛。


「先輩・・・」
ふと聞こえた声・・・
声の主はくされ後輩。
「なに?邪魔なんだけど?今更謝られたりしてもうざいだけだから。」
今は1人になりたい。
誰とも会話したくない。
「手痛くない?俺きつく握ったし・・・」
「別に・・・」
「先輩ってさぁ。俺のこと嫌いでしょ?」
「嫌いだけど?」
ぞっこんとか言ってたのに正直幻滅した・・・
こんな最悪なやつ・・・もう
好きじゃない。
「俺、本気で先輩好き。」
「・・・・・・・からかわないでくれない?迷惑なんだけど。」
「なぁ・・・いつまでも俺がからかいで告白すると思う?俺先輩好きだから。」
「・・・・・・・」
「なぁ・・・先輩。いや、愛。好き。」
「うちはもうあんたのこと好きじゃない。」
ちょっと言葉を間違えた。
「もう?前は好きだったの?」
「ち、違う!!」
「先輩?俺のこと好き?」
「好きじゃない!!」
素直になんかなれない。
こんなくされ後輩の前で。
絶対恥かきたくない。
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