《完》シークレットコードにご用心
小太郎は哀願するみたいに
そう言いながらも、
ディスプレイに向けた顔は
ピクリとも動かさない。


ジッと画面を凝視して、
すごい速さでカタカタと
キーボードを叩いてる。


……あ、ちなみに『凝視』
ってのはイメージだけど。


実際はビン底なレンズの
せいで、小太郎の目元って
見えないから。



――って、小太郎の顔
なんてどーでもいいのよ!


そうじゃなくてぇっ。


「だから何やってんの、
ってば!

ちゃんとわかるように
説明してよ〜っ」


あたしがプリプリした
声をあげたのと、小太郎が
『あ〜っ!』っと叫んで
キーボードを叩いたのは、
ほぼ同時だった。
< 144 / 530 >

この作品をシェア

pagetop