《完》シークレットコードにご用心
「対岸を……?」


「あぁ。

オレも、気づいたのは藍が
奴らを足止めして一呼吸
ついた後で、いつから
いたのかはわかんねーんだけど。

オレにはどうにも、速度
とかこっちに合わせてる
ように見えたんだよな」


「―――それで?」


続きを促す伊織の声にも、
緊張が現れ始める。


光琉は軽く頷いて、


「それで、なんとなく気に
なってしばらく見てたんだ。

車は黒塗りの外車っぽい
ヤツで、途中で閉まったん
だけど、最初は後部席の
窓が開いてて……」


そこで一度言葉を切って、
光琉はゴクッと息を飲んだ。


そして、ピンと張りつめた
声でゆっくりと――、


「そこに乗ってた奴がさ。

オレにはどうも、会長に
似てるように見えたんだ……」
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