《完》シークレットコードにご用心
渋谷はうつむいたまま、
押し殺した声でそう呟いていた。


それを見た風間は、彼を
安心させるように少し
語調を強めて、


「あ、でも、大丈夫です!


その――…

俺が、話したんです。

前に渋谷さんから
聞いたこと……」


「え―――…?」


渋谷はハッとしたように
顔をあげた。


その視線を受けて、風間は
さらにバツが悪そうに
なりながらも、


「……お父さんのこと
とか、昔のこととか。

あ、もちろん簡単に
だけですけど。


だから不用意に、“素顔”
だとか銘打って記事にして
欲しくないって」
< 393 / 530 >

この作品をシェア

pagetop