《完》シークレットコードにご用心
そこまで話して、風間
クンは急に言葉を詰まらせた。


堪え切れなくなったのか、
押し殺した嗚咽が漏れ始める。


緋月がそんな風間クンを
いたわるように見ながら、
そっと問いかけた。


「風間のお母さんは――
たしか2年ほど前から
体調を崩されて、療養を
されてたんじゃ……?」


「そう……だよ。

体もだけど、精神もな。

ずっと無理をしてきたのが
たたったんだ」


「……………」


誰も何も言わなかった。


ていうか――あまりに
いたましくて、なんて
言っていいかわかんない。


きっと、ごく普通の家庭で
育ったあたしには、風間
クン達にかかってた重圧や
苦労は、本当の意味では
理解できないもの。
< 435 / 530 >

この作品をシェア

pagetop