《完》シークレットコードにご用心
(なぁ……もう充分だろ?

俺は充分、自分が最低
だってことをわかってる。

もう楽になりたいんだよ。

少年院でも刑務所でも
入って、ボロボロになる
まで酷い生活をして……)


心でそう叫びながら、
ベッドの中で、きつく体を
折り曲げた時だった。


ガシャーンと、闇の中に
何かの割れるような音が
響き渡った。


「……………!?」


音は階下からだ。


そこには父の書斎があり、
そして今、この家には
自分と父の二人しかいない……。


(なんだ―――?

間違ってティーカップでも
落としたのか?

こんな時間まで、バカ
みたいに仕事してるから……)


父の気配を思い出して
しまったことが不快で、
そう考えながらプルプルと
頭を振ったけれど。
< 492 / 530 >

この作品をシェア

pagetop