《完》シークレットコードにご用心
次に聞こえてきた声に、
幹人は耳を疑う思いで、
ガバッと跳ね起きるしか
なかった。


「ふっ、文恵(ふみえ)っ……!!」


「なっ…………!?」


(文恵だって!? なんで――!?)


言うまでもなく、それは
今は亡き母親の名前だ。


生前も、父は母のことを
そう呼んでいた。


(居眠りして母さんの
夢でも見たのか? 

いいザマだ……)


だがその思いは、
一瞬にして打ち砕かれる。


『文恵、どうして!?』と
いう声と、ドタドタと
激しい足音が、続けて
響いてきたからだ。


「何が……
起こってるんだ……!?」


さすがにもう、ベッドの
上にいることなんて
できなかった。
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