《完》シークレットコードにご用心
幹人はベッドから立ち
上がると、上着を羽織る
のも忘れ、全速力で部屋を
飛び出す。


階段を駆け降り、父親の
書斎に飛び込んだ。


「父さん、一体どうし――…!?」



――最後まで言うことは
できなかった。



開け放たれた窓。



そこから差し込む青い
月明かりと、凍えるように
冷たい風。



そして、目の前に広がる
光景が、一瞬にして幹人の
思考を奪っていた。



「か、母さ――――!?」



無意識のうちに出ていた
その声だけが、唯一出せた叫び。



(そんな……
そんなバカな……!!)



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