《完》シークレットコードにご用心
もう二度と会えないと
思っていた、母の面影、
声、眼差し。


――それがたしかに、
今目の前にある。


(幽霊――なのか?

まさか、本当に………!?)



「最期のお別れを……
言いに来たのよ……」


母は、愛おしそうな目で
自分を見つめながら、
囁くようにそう言った。


そうして次に、父の――
夫の方に視線を移し、


「あなたにもお別れを。

言いたいことは山のように
あるけれど……。
今となっては、意味のない
恨み言ですもの……」


その言葉を聞いた父の
体が、ビクッと強張る。


(――そうだ。

父さんは母さんを……!!)
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