《完》シークレットコードにご用心
「あ……ふ、文恵………!!」


「地位と名誉の為なら
何でもして、家族や知人が
涙を流すのもいとわない。

そんなあなたが怖くて――
悲しかった。

変わって欲しいと何度
お願いしても、とうとう
あなたは変わって
くれなかった……」


母の瞳から、キラキラと
涙がこぼれ落ちる。


月光を浴びて光るそれは
宝石のように綺麗で――
胸が痛くなるほど、悲しかった。



「……許してくれ、文恵!

気づかなかったんだ!

お前がそこまで苦しんで
いたことを。

ただワシは、築き上げた
モノを無くしたくなくて……!!」


幹人は意外な思いで
マジマジと父を見た。


まさか本当に、『許して
くれ』なんて殊勝な言葉が
父の口から出てくるとは。
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