《完》シークレットコードにご用心
本心なのか?

それとも、そうでも
言わないと、地獄に連れて
行かれるのでは、と怯えて
いるだけか……?


「築き上げたもの?

政治家としての自分が、
そんなに大切でしたか?

息子や、妻の人生よりも――?」



幹人はビクリと硬直した。


視界の隅に、父も同じ
ように硬直したのが微かに映る。



―――“妻の人生”。



それは二人――いや、この
三人にとっては、決して
聞き逃すことのできない
キーワードだ。


なぜならそれは、他でも
ない目の前の夫によって、
奪われてしまったのだから――。



「ねぇ、あなた――……」



「―――すまなかった!

本当にすまなかった!!

お前が死ぬまで気づかなかった!!

まさか自殺するほど
悩んでただなんて、夢にも
思わなかったんだ!!」
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