《完》シークレットコードにご用心
頭がクラクラしてきた。


実感がなさすぎて、夢から
醒めたばかりのボンヤリ
した気分と、すごく似てる
気がする。



(やっぱこんなの、現実
にはありえないんじゃ――…。)



けどその考えを、凛とした
声が遮った。


伊織が、初めて頬に
ハッキリとした笑みを
浮かべて、言ったんだ。




「――ようこそ、“ESCODE”へ」




『ようこそ』――……。




……呪文みたいなその言葉
に、あたしはただ、言葉も
忘れてその笑顔を見返してた。





     ☆☆☆☆☆



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