《完》シークレットコードにご用心
案の定、再びダーッと
涙を流し出す小太郎。


とりあえず暑苦しいんで、
『ウンウンそーだね!』と
その肩を叩いてから、
あたしは改めて伊織を見た。


「あなたっていったい
何物なの……?

お金の力でムリヤリ職員に
なったり、顧問になったり……」


普通の人じゃないのは
もう明らかだ。


あたしはゴクッと生ツバを
飲み込んで、その答えを待つ。



――けどなぜか、伊織は
すぐに答えようとはしなかった。


今までの簡潔明瞭な説明が
嘘みたいに、貝のように
押し黙ってる。
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