恋戦乱


庶民の格好をしても

やはり綺麗なお顔立ち


こんなお方と縁日なんて
目立ち過ぎてしまう


「椿!あれ何?」


指差されたのは
鉄砲で景品を落とす出店


「俺、あれやりたい!」


楽しそうに歩き出す和成様

その時にすっと

手を繋いだ


「!!」


あたしは驚いて顔が赤くなるのがわかった


「椿!どの景品がいい?」


「えーっと…
あれが欲しいです」


あたしが選んだのは
赤いかんざし


和成様はじっと構えて


一発―…

たった一発で落とした



「すっ!すごい!!」


「はい」


にこっと笑ってあたしにかんざしをくださる


「ありがとうございます」


「―…」


満面の笑みでお礼を言うと
顔を背けられた


「―…行こっか」


そぅ言って
また手を取って歩きだされた
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