恋戦乱
「ぎゃーーー!!」
まさに今、私は
野犬に襲われそうだ
目の前の野犬は
歯…いや、牙をむき出しにして私に飛び掛かってきそうな勢いだ
「お願いだから〜どっか行ってよ!!」
その辺に落ちていた木の棒で追い払おうとしたが
余計に牙をむく
もう…噛まれるしかないか
そう思った時
“ザザッ”
木をかきわけて男の人が
こちらに目を向けた
「こんなとこで何してんの?」
そう言って野犬を見ると
鋭い目付きになり
腰の刀を抜いた
すると野犬はさっさと逃げて行った
「あっ、ありがとうございます」
「こんな山ん中で女が1人で危ないよ?何でこんなとこにいたの?」
さっきまでの鋭い目付きから一転
優しい目付きに柔らかい物腰
「あの、隣町から帰る途中
道に迷ってしまい…
そこで野犬に追われて山に入り込んでしまいました」
「そうだったんだ
とりあえず早く山を降りよう。日が暮れる」