恋戦乱


あたしは間もなく山中の寺へ



質素な暮らしが懐かしかった


城では贅沢ばかりだった


あたしや龍様のお食事となると、決まって何食も作る


いつも食べきれなくて残してしまう…




頑張って食べていたら


「そんなに食うと豚になんぞ」


龍様にニヤニヤしながら突っ込まれたものだ



なんだかそれが急に恋しくなって

あたしは豆腐を摘んだままぼーっとしていた



「いかがなされましたか?」


住職さんが聞いてくる


「いえ…」


「やはり、姫君にはお口にあいますまい」


くしゃっと笑った住職さん


「とんでもない!!庶民の私には高価すぎるお膳にございます!!」


住職さんはぽかんとしている…




「庶民…?」


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