恋戦乱
滝次様と和成様が帰られて
少し城内も落ち着いた
あたしは部屋でのんびりとしていた
とにかく、皆様が無事お帰りになられたことで
安堵が尽きなかった
「椿様、嬉しそうでございますね」
お凌さんに言われた
「はい!お三方のお顔を拝見して…ご無事なのが何より嬉しくて…」
あたしはニヤけているのだろう
お凌さんがくすりと笑った
「椿様はお優しく強いお方です」
「強くなんてないんです…
本当は弱さの塊です…」
「なぜですか?」
「山にこもったこの数ヶ月
私は幾度も幻覚を見ました
迎えに来て下さる幻覚を…
それは心の弱さゆえに見たものなのです」
「それは違います。椿様は寂しさに耐え待っておられました
それは、真の心の強さです」
「お凌さん―…」
あたしは気持ちが安らいだ
久しぶりのお凌さんの感じに
心が静寂を取り戻した