恋戦乱


滝次様と和成様が帰られて
少し城内も落ち着いた





あたしは部屋でのんびりとしていた





とにかく、皆様が無事お帰りになられたことで

安堵が尽きなかった



「椿様、嬉しそうでございますね」


お凌さんに言われた


「はい!お三方のお顔を拝見して…ご無事なのが何より嬉しくて…」


あたしはニヤけているのだろう



お凌さんがくすりと笑った





「椿様はお優しく強いお方です」


「強くなんてないんです…
本当は弱さの塊です…」

「なぜですか?」


「山にこもったこの数ヶ月
私は幾度も幻覚を見ました

迎えに来て下さる幻覚を…


それは心の弱さゆえに見たものなのです」



「それは違います。椿様は寂しさに耐え待っておられました
それは、真の心の強さです」


「お凌さん―…」




あたしは気持ちが安らいだ



久しぶりのお凌さんの感じに
心が静寂を取り戻した



< 87 / 101 >

この作品をシェア

pagetop