恋戦乱


夜になり龍様のお膳を運んでお茶を注いだりしていた



「おい!顔、どうした?」


「えっ?!」


あたしはふと近くにあった鏡を覗き込んだ



「あっ―…」



そこには

右目の下辺りが青黒くなっている自分がいた



しまった―…



「こっ、これは―…柱にぶつかってしまって!
申し訳ありません」


「―…。おい、下がれ」


「はっ」


部屋にいた家来の人達はみんな龍様のお声で出て行った



「椿…本当の事言え」


「ほっ、本当です!!」


「嘘つくんじゃねぇよ…」


龍様はあたしの顔に触れ
青黒くなったそこを
軽く指で撫でた


「申し訳ありません…私のどじで…お見苦しい顔をお見せしてしまって」


「―…おてんば」


「…おてんばではないですけど…
以後、気をつけます」



ふっと笑った龍様


だけど真剣な目付きに見透かされそうで恐かった



触れている手は暖かくて


お優しい



< 91 / 101 >

この作品をシェア

pagetop