嘘、
その違和感が何なのか分からなかった。

でもそれがあることには間違いはなかった。


「……一つ聞いていい？」


私は自分から聞くことにした。

先程の違和感のことでなく、ずっと思っていたこと。


「ユエちゃんからなら何でも答えますよ。」

「……あんたはどうして私なんかに絡んでくるの？」


え、まさかそのこと？っていう表情。

やっぱり聞かれたくない？

そりゃそうか。

同情で近づいた、とか、遊び半分とか、本人に言えないよね。


「うーん……簡単に言うと、興味があった。」


ほらきた。


「だって他の子とは違う反応してくれたからさ。」

「で、からかってたわけか。」

「違うよ。今こうしてユエちゃんと居るのは、純粋に一緒にいたいから！」


純粋、って言葉に嘘は無いように思えた。

瞳がキラキラしてた。本当に心から思っているように思えた。


「ユエちゃんは俺と一緒に居たくない？」


次にしょんぼりとした兎のような可愛らしい目で訴えかけてくる。

否定できない。

それだけじゃない。

分からないけど、

分からないんだけど、

即答で肯定する気にはなれなかった。


「……別に、どっちでもない。」

「素直に『居たい！』って言えばいいのに。」

「素直に言いました。」

「……まぁ、そこがユエちゃんらしい、か。」


アンタに私を分かられたくないんだけど。

居たい、って心の底から思ってるわけじゃないし。

素直になれって言われても―――


『ユエってあまのじゃくだね。』


……私みたいなあまのじゃくには絶対無理だから。
< 12 / 26 >
表紙・目次

この作品をシェア

pagetop