嘘、


翌日も屋上へ向かった。

鍵は開いていた。

また彼女がいるのだろうか。

ふとした疑問を胸に扉を開けた。

目の前にはただ青く広い空があった。


「……いない。」

「何がいないのさ。」


ビクリと体が反応する。

そっと後ろに振り向いてみた。

昨日の彼女がいた。


「あ、もしかして私探してた?」

「……違う。」

「いやー、私も人気者だなぁ。」

「……違うって言ってるでしょ。」


彼女は私の言葉を信じなかった。

その代わり、私の心の言葉を信じた。


「……アンタ誰?」

「私は私。」

「名前。」

「……あ、言ってないのか。そりゃごめん。」


彼女は屋上に張ってある金網に掴まって私の方は見ずに答えた。


「秋絽玲。」

「……変な苗字。」

「よく言われるよ。」


どうして彼女はここに来るのだろう。

それは聞けなかった。

聞かなかった。
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