嘘、
はっとして我に返る。

なに、思い出してんだろう。

『あんなこと』、なんで思い出したんだろう。

思い出す度、自分を嘲笑いたくなる。

大人の子供のような恋。

もう、今となっては辛い過去。

やめよう。

今はそんなことより、

目の前の彼女の話を聞いてあげるべきだ。

私にできることなんて、

多分ほとんど無いと思うけど。


「……私、本当に浩平のこと想ってる。だから、ひょっと出の子になんか浩平は渡さない。」


彼女はただその言葉を強く発して、いつもの笑顔で、


「じゃ、浩平のとこ行こっか。」


仮面をかぶっているように笑った。
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