≡イコール 〜守護する者『霊視2』より〜

「は・・・い・・、おかげさまで・・・順調に回復してます。」


あーーーーー、やっぱ来るんじゃなかった。


「そうか・・・脳腫瘍だったよな・・若いのに・・・

奥村の彼女な、今手術で入院してるんだよ。

奥村もエライよなぁ。あんなに献身的に見舞いに行く恋人とかいないよ、最近は!

若い奴らはみんな、自分の事が一番でさぁ・・・

その点、お前のそういう所をな!俺は買ってるんだ。」



社長は、オレとハルを交互に見ながら話しだした。


ハルもオレが病院に行ってる事など、初めて聞いたかのような顔をして聞いている。



「いや・・・フツーですよ・・・」


オレは早く話題がそれてくれる事を願っていた。



「フツーじゃない!っつってんだろ!なぁ!いないよなぁ!今どき!」



社長はハルに同意を強要した。



「ほんと・・・彼女が羨ましいなぁ・・・・」



ハルはオレを見つめながら、ポツリと言った。

ハルのセリフはオレにはわざとらしく聞こえた。

昨日は、ただの友達だと平気でハルにウソをついていたくせに、

献身的はないでしょ!という言葉が、ハルの喉の奥から聞こえてきそうだった。


ただ、そのあとのハルの言葉で、それはもっと深い意味があったことをオレは知った。
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