≡イコール 〜守護する者『霊視2』より〜
翻弄
「・・・ヒカル・・・・」
優しい声に、オレは遠くにあった意識を近くまで取り戻しつつあった。
「ねぇ・・・ヒカル・・・・」
重いまぶたを、なんとか開いて声の主を捜す。
ほとんど光の入らないこの空間は、今がまだ夜だという事を確信させた。
「ヒカル・・・あのね・・・・」
オレが目覚めたとか、目覚めないとか関係なしに、声の主は話しを続けている。
『ヒカル』と呼ぶその声は、ハルだと思える。
オレの目の前に居るが、とにかく辺りが暗くてはっきりと顔が見えない。
オレは、必死に目を凝らしてハルらしき女性に焦点を合わせてみた。
自分では横になって寝ていたつもりだったが、どうやら、ちゃんと壁にもたれて眠っていたようだ。
部屋の雰囲気で、今居るこの場所がオレの部屋ではない事だけはハッキリしていた。
オレなりに気を使って横にはならなかったのだろう。
・・・・て、コトはここはハルの部屋?
それとも、社長の家?
辺りを見回すが、目の前のハル以外に人の気配はない。