≡イコール 〜守護する者『霊視2』より〜

翻弄



「・・・ヒカル・・・・」


優しい声に、オレは遠くにあった意識を近くまで取り戻しつつあった。



「ねぇ・・・ヒカル・・・・」



重いまぶたを、なんとか開いて声の主を捜す。


ほとんど光の入らないこの空間は、今がまだ夜だという事を確信させた。



「ヒカル・・・あのね・・・・」



オレが目覚めたとか、目覚めないとか関係なしに、声の主は話しを続けている。


『ヒカル』と呼ぶその声は、ハルだと思える。


オレの目の前に居るが、とにかく辺りが暗くてはっきりと顔が見えない。


オレは、必死に目を凝らしてハルらしき女性に焦点を合わせてみた。


自分では横になって寝ていたつもりだったが、どうやら、ちゃんと壁にもたれて眠っていたようだ。


部屋の雰囲気で、今居るこの場所がオレの部屋ではない事だけはハッキリしていた。


オレなりに気を使って横にはならなかったのだろう。



・・・・て、コトはここはハルの部屋?


それとも、社長の家?


辺りを見回すが、目の前のハル以外に人の気配はない。





< 105 / 348 >

この作品をシェア

pagetop