≡イコール 〜守護する者『霊視2』より〜
『感情を変える?感覚を変える?…そんな事出来ない!!出来ないよ!!』
絵里香は手に持っている本にぐっと力を入れた。
「絵里香・・・パパはみんなに連絡してくる・・・。
・・・ここで待っていられるか?」
父である山田が、本を握りしめながらとめどない涙を流す娘に優しく話しかけた。
絵里香は黙って頷いた。
看護士たちも忙しそうにバタバタと部屋を出入りしていたが、父親が病室を出て1人になった絵里香にそっと声をかけた。
「絵里香ちゃん・・・お母さん・・・とても安らかなお顔をなさっているわ・・・
きっと・・・絵里香ちゃんの事を・・・・」
『何も聞きたくない』
「すみません!!・・・ママと2人きりにしてください・・・」
看護士の言葉を遮るように絵里香は言葉を放った。
「そうね。ごめんね。ママとゆっくりお話ししたいわよね。・・・じゃあ、外に出るからね。何かあったらナースコールでいつでも呼んでね。すぐに行くから。」
そういうと看護士は病室を出た。
絵里香は、本を握りしめていた手の力を緩めベッドの上で安らかに眠るような表情の母親に近づいた。